真・腕時計選びの秘孔

オメガかタグ・ホイヤーが良いかと思っていたけど、やはりロレックスやIWCも捨て難い。いっそのことパテック・フィリップを、と思ったけど、どうやらグランドセイコーも随分と良いものらしい。ちょっと待て、新しいのも良いけど、中古を買ったほうがお得らしい。なんて考えていたら、アンティークウォッチも良いかもしれない。。。 どこまでも果てしなく拡がる時計の世界の、転ばぬ先の杖。になればよいのですが。

2017年01月

と、いうことでまたしても間が開いてしまった訳ですが、
細かいことは気にせず、本題です。

私がお留守のうちに毎年恒例のSIHHなるものが今年も盛大に開催され、
リシュモングループをはじめ参加したブランドの全てが
これでもかという程にまた新作を発表したようであり、

そしてウォッチランドは言うに及ばず、
この動きを牽制するかのようにゼニスやホイヤーなども
これまた強烈な新作を繰り出したりしていまして
これはこれは大変だ、となってしまっているのです。

その中でも名門中の名門たるヴァシュロン・コンスタンタン、
一昨年のハーモニー、昨年のオーバーシーズなどと、
近年は新型のインハウスムーブメント搭載機を連発しまくっているのでありますが

今年もまたとんでもないコンプリケーションを創りまくってしまったようで、
その恐るべき充実ぶりを公式サイトにて目の当たりにした私は、
何を隠そう一人で吹き出してしまったのであります。

まず目に飛び込むのは直径98mm、厚さ50.55mmというサイズで、
57もの複雑機構を持つという懐中コンプリケーション、57260。
reference57260
パテック様の175周年に登場したグランドマスターチャイム(の写真)を
初めて見た時には、
全面的にエングレーブされまくったケースと
ただ事ではない程に沢山のエレメントが同居しながらも
恐ろしいまでに格調高いそのお姿に

製作に関わった方々の大変な仕事量と
パテック様がパテック様であり続けることの厳しさを
感じてしまったような気がしまして、
思わず涙が出そうになったことを強烈に覚えているのでありますが、

その後私の免疫力は大分強靭なものとなったらしく、
今回の57260については、またやりよった、位の感覚であったのです。

これに加えて全てがチャイムを搭載しているという複雑時計が2種類、
ふーん、などと思っていたら、
なんとこれに加えて「天文時計」という、
これまたえらい大作が2種類追加されているというではないですか。tennmonn (2)
copernic
cyaimu
そして私的には一番気になるトラディショナル・クロノグラフ
・パーペチュアルカレンダー。
watch-recto
搭載するムーブメントはレマニア出身であり、
新規開発ではないようですが、
その方が私のような考え方の古い者にとっては
安定感が感じられて無意味に嬉しかったりするのです。
caliber
ケースと同素材で作られたと見られる、
絶妙な表情を見せるお月様が何とも味わい深いではないですか。

しかしながらこういった近年のバシュロンの目を見張るような新作ラッシュは
リシュモングループの後ろ盾があってこその事ではないかと
勝手に想像しているのでありますが、

いずれにしても名門というものは維持するのが大変そうだ、

と遠い東の果ての国で、そっと心配する私でした。


caliber (2)

画像は公式サイトより引用

f5c9c4a28829abb770f31cd80c78860f[1] (2)
http://www.iwc.com/ja/collection/portugieser/IW5102/


ということで、
何故急にまたポルトギーゼの写真を勝手にダウンロードして
ここに貼り付けたかと申しますと、

同社の伝統的なコレクションの一つであるこの時計は
ここにまた蒸し返すまでもなく1930年代当時、
最高の精度を持つ腕時計を目指して生まれたものでありまして、

その為には腕時計用の小型ムーブメントではまだ役不足との判断の上に
懐中時計用のムーブメントを搭載した故に大きな時計になった、
これは同社のパイロットウォッチの元祖とされる
"52 T.S.C" を製造した時と同じ発想であったに違いない、
と思うのが人情でありまして、

要するに最高を目指すパッションの下に生まれたこの時計は、
この上なくピュアなものではなかろうか、
ということで特にお慕い申し上げているものの一つということなのであります。

そんなポルトギーゼの中でもオリジナルの直系の子孫と
私が勝手に位置づけるこのハンドワインド・エイトデイズ、

残念ながら私はまだ未体験ながら、
素晴らしい精度を紡ぎだす(に違いない)
手巻きムーブメントを搭載しているのでありまして
28,800振動/時という低くない振動数で
8日間ものパワーリザーブを達成しているのです。

その代わりなのか、
絶世の美人であった先代の Cal.98系の目に毒なまでの
素晴らし過ぎる意匠はここでは「お預け」になってしまっているのですが

テンプが大きくて喜ぶのは一部の困った人たちだけであり、
そのユニークな意匠の数々はあくまでタフネスと精度の為のものであり、
裏側に慎ましく配置されたパワーリザーブ表示と共に、
「文句ありません。」
と申し上げるしかないのです。

しかしそれより何より、
私が申しあげたかったのはその顔なのでありまして、

これも現代的な技術の成せる業なのでしょうが、
眺めれば眺める程に見事な立体形成が施された繊細な長短針、
当然の事ながらリューズを引き出してクルリと回せば、
その長い針達が寸分のブレも無く広い文字盤上をスイープするのでありまして、
その姿の可憐さたるや、ポルトギーゼでしか味わえない。。

などと、一番困った人は他ならぬ自分なのかも知れない、
と思う今日この頃でした。


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毎度突然にて恐縮ではありますが、

「時計とは、時刻を読み取る為の計器である。」

等と考えるならば、腕時計の「視認性」、
更に申し上げれば「判読性」なるものに
拘りを持つのは当然の事と思えるのでありまして、

すなわちここで言う「判読性」とは
何時何分何秒くらいか、
というのを如何に読みやすく表示しているかということであり、

要するにこれは文字盤上のインデックスと針の個々のデザインに加え、
その重なり具合がどうなっているのかに全てがかかっている、
となるのですが、

本当に道具として作られた時計は、
当然のようにこのあたりにちゃんと念が入っていたりするのでありまして、

例えば機械式時計の黄金時代に作られた高精度機に見られる、
不必要なまでに細かく、丁寧にプリントされたセコンドトラックの上を
これにキッチリと重なり合う鋭い秒針が見事にスイープして行く様を見つめるだけで
いわゆる興奮状態に陥ってしまう、

私はそんな困った奴なのであります。

判読性の高い顔は、精度の高さに対する自信の表れであり、
すなわちこれは、作り手の誠実さを表現しているようにも思えてしまう、

等と書いているうちに何が言いたかったか分からなくなってきましたが、
時計の本来の美しさとは、こんな処に現れるのではなかろうか、

名ばかりの時計達と本物の時計達との差は、
こういった処に滲み出るのではなかろうか、
なんて思う節もあるのではありますが、

例えばカルティエさんのように四角い時計を得意とするならば、
文字盤が四角いからと言って
針が四角くスイープする必要は確かに無いと思えるのであり、

更には古典的なバランス感覚を微妙に調整することで
絵も言えぬ個性とモダニズムを醸し出す手法というものにも
妙な説得力を感じてしまう事も確かに有ったりするのですが、

やはり私はどちらかと言えば古臭い考え方の方に心を奪われるのであり、
すなわち私は針の長さが異様に気になるのであり、
ブットイ針より繊細な先端を持つ針の方が好きであり、
時刻合わせをするときは長針を出来る限り正確な位置に合わせたい。
どこまで行っても困った奴なのであります。


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