真・腕時計選びの秘孔

オメガかタグ・ホイヤーが良いかと思っていたけど、やはりロレックスやIWCも捨て難い。いっそのことパテック・フィリップを、と思ったけど、どうやらグランドセイコーも随分と良いものらしい。ちょっと待て、新しいのも良いけど、中古を買ったほうがお得らしい。なんて考えていたら、アンティークウォッチも良いかもしれない。。。 どこまでも果てしなく拡がる時計の世界の、転ばぬ先の杖。になればよいのですが。

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大変です。

私がすっとぼけているうちに、
オメガのスピードマスターが還暦を迎えていたのです。

1957年に「次世代のリストコンピューター」として登場したスピードマスターは、
より高い信頼性を求めて改良が続けられ、
やがてその作り手すら想定していなかった(に違いない)程の
ポテンシャルを備えるに至り、
NASAの正式採用を受けてその信頼に見事に応え続けている、

そんな最高の機械式ツールウォッチであるスピードマスターは
1968年に「改良型」ムーブメント、Cal.861を得て以来、
何と現在に至るまで基本的に仕様変更なく現役だったりするのであり、

こんなに長い事(ブレス以外は)変わらずに作り続けられている時計は
もはやスピードマスター・プロフェッショナルの
スティールバックモデルのみであり、
まさにこれは時計界のシーラカンスと呼ぶにふさわしい存在と言えるのです。

「スピードマスタープロフェッショナルは、
1969年に月面に降り立ったときのままの姿でなくてはならない」
と、いつかどこかでオメガの社長が語っていたのを
読んだ事が有るような気がするのですが、

フレデリック・ピゲのムーブメントをベースにしたり、
コーアクシャルを搭載したりしたことに始まり、

今や現代的クロノグラフの代表選手となったCal.9300系や
金属のコアを持たないセラミックケース、
そしてこれまでの耐磁時計を過去のものとするに十分な
圧倒的な耐磁性能の普及に至るまで、

近年のオメガの快進撃は、
もはや他社と比較すべきレベルにはないとしか思えないのですが、

私などはこれがどうも正しくユーザーに伝わっていないような気がしてならず、
余計な事と知りながら、モドカシイ事この上無いのですが、

取り急ぎはそんな最新鋭のオメガのコレクションの中で、
プラスチック風防に手巻きの水平クラッチ式クロノグラフを搭載した
スピードマスタープロフェッショナルの時代遅れ感が一際目立ってきているのです。

と、変わらない変わらないと書き続けた割には
実はケース形状から文字盤、ベゼル、ムーブメント等の細部に渡るまで
1968年以降も沢山のマイナーチェンジを受けており、

「同じ時計」を10本も20本も30本も集めるコレクターを
生む原因になっているという事実も有るのですが、

基本的に「変わらない」スピードマスター・プロフェッショナル、
これを一貫して作り続けているオメガ、あなたは偉い。

と、ひとり頷く私でした。


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前回私は、オメガが随分と頑張って作った(に違いない)グローブマスターについて
色々書いてみたつもりだったのですが、

何だか物足りず、取り急ぎこの写真を張り付けてしまうのです。

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ムカシの12角文字盤に青いのがあったような気がしないのですが、
見事な青を呈するアクアテラで大成功を収めたオメガは、
グローブマスターにおいてもモダンで都会的なブルーを発色させることで、
12角文字盤に新たな魅力を加えて見せたのです。

と、いうことで
初のマスタークロノメーター所得機として登場したこのグローブマスター。

マスタークロノメーターとは何か?
との当然の疑問については、
当然の事ながらオメガの公式サイト
これでもかという程に書いてあるのですが、

ここで私に何が書ける訳でもないくせに
強いて上塗りをするとするならば、

オメガがスイス連邦計量・認定局
(Swiss Federal Institute of Metrology:METAS)に働きかけて
制定したらしいマスタークロノメーター、

これは決してオメガの為だけに作ったものではなく、
全てのメゾンに対して開かれているもの、
とオメガが説明していたのをどこかで読んだことがあるのですが、

これはオメガの長年に渡ってスイス時計業界を牽引してきたボスたる自覚か、
はたまた同業他社に対する挑戦状か、
東の果ての小さな国に住むいち小市民の私に分かるはずもありませんが、

取り急ぎ耐磁性能というものは
現代社会においてわざわざ機械式時計などを使用するにおいて
誠に有用な性能であることに違いはなく、

しかしオメガがこの超耐磁性能のデモンストレーションを披露してから早3年以上、
15,000ガウスもの強力な磁場に耐えられる時計を作れるものなら
他のメゾンもとっくに作っていそうなもののような気がするのでありますが、

これが少なくとも今のところはオメガ以外には
量産に成功しているメゾンは存在していないようであり、
すなわちこれはやはり、結構にして凄いことではないか、
と思うのです。

長年機械式時計に慣れ親しんできた人にとっては、
いくら大丈夫だと言われてもスマホの上に腕時計が乗っかっているような光景は
見るに堪えない、見苦しいものにしか映らないのであり、
そんな事をするはずもないのですが、

これが機械式時計の初心者の方の中には、
自覚のないまま日々時計をムチ打っている人も少なからず存在するのであり、
それでも壊れない時計というものの存在意義は
今後更に高まるように思えてならないのです。

しかし何より、かつて高精度のシンボルとして採用した意匠を
こうして初のマスタークロノメーター所得機に蘇らせたオメガ、
これが魅力的で無いはずがない、、、

ついでに丸形微動緩急針も復活すればいいのに、
Cal.8900 T2 RGなんて特別なムーブメントも作ればいいのに、
なんて思う私はやはり駄目に違いない。

と、東の空に向かって一人微笑む私でした。



相変わらず脈略の感じられない展開にて誠に恐縮ながら、
今日は何となく、
オメガがオメガらしく作ったように思えてならないグローブマスターについて
考えれば考える程にそう思えるグローブマスターについて、
うじうじとやってみよう、

という事でこの時計。

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そのケースが描く曲線は、
かのマエストロが手掛けたといわれる
コンステレーションCラインを思わせるのです。

しかし本作においてはそのアウトラインに
微妙な調整を施すことによって、
オリジナルの持つ時代の色を消し去り、
見事なまでに現代のものとしているのです。

そんなケースにフィットされた、
どこかで見たことがあるような気がする、ギザギザのベゼル。

これが硬いタングステン カーバイドなる金属で作られており、
傷がつきにくいというのはとても気が利いているではないですか。

ということで急に話題は変わり、
適度な厚みと重量感を持ち、
ラグから流れるように連なるブレスレット。

一見往年のキャタピラブレスを思わせるシンプルさでありながら、
コマの中央部から両端へなだらかに薄くなる形状を持っており、
細々と面取りされたエッジと共に、装着感への配慮が見られるのです。

その動きは若干遊びが少なすぎる感もありますが、
これが現代的な剛性感というものなのでしょうか。

クラスプはアクアテラをはじめ現行のオメガがやたらと多用している
両ボタン付きの観音開きであり、

当然ながら操作上の問題は無いにせよ、
6時側をはめ込んでから12時側をはめ込む、
この順番を守らなければならず、

更に開けるときは両ボタンを押し込んでまず12時側を開放し、
その後引っ張って6時側を開放する、

要するに開閉時共に2つの操作が必要であり、順番も有り、
当然のように慣れてしまえば何の事は無いのでしょうが、
慣れるまでは若干ご面倒な感じがするかもしれない、
と一抹の不安が有るのです。

ということでこの時計のハイライトはやはり顔、
言わずと知れた12角形のパイ皿文字盤がここに復活したのであります。

しかし何故か妙に懐かしくない、
何が違うのだろうと新しいパイ皿をしばらく眺めていて気付いてしまったのです。

ムカシのパイ皿は12角形の僅かなエッジ部分にミニッツ兼セコンドトラックが存在し、
すなわち長針、秒針共にその先端は12角形の上をスイープしていたのでありますが、
新しいパイ皿ではミニッツトラックが普通に最外周にあるのです。

更にコンステレーション登場当初の1950年代前半から
1970年代半ば頃までの長きに渡って存在した往年のパイ皿には
これでもかという程に必ず(?)ドルフィン針が採用されていたのでありまして、

そして実はこの私、何を隠そうドルフィン針が大好物なのであり、
これがバトン針とバーインデックス、
こんなものはもはやパイ皿とは呼べない、
とまで思ってしまうのでありますが、

これは全てがマエストロのCライン的ケースとの親和性を優先した結果、
そうに違いないと私は勝手に決めつけているのであります。

そしてやはり気になる "Globemaster" のロゴ。

グローブマスターは元々1950年代、
時計の完成品に高い関税を掛けていた当時のアメリカの市場向けに
アメリカ国内で生産した外装パーツに
スイス製のムーブメントを組み込むことで価格を抑え、
アメリカンブランドに対抗したという歴史の中に生まれたモデル名であり、

それが1952年に誕生したコンステレーションとどう関係あるのかと言いますと、
当時のアメリカにおいてコンステレーションという商品名は
既に商標登録されていた関係で使用出来ず、

仕方なく文字盤上からコンステレーションのロゴを取り去って
グローブマスター・クロノメーターとして売り出した、
という事のようなのです。(馬蹄俱楽部、万歳!)

要するに、 "Globemaster" のロゴが入ったクロノメーター所得機は
実は今回が初登場なのでは?との疑いが無きにしも非ずなのでありますが、

しかしやはりそんなことは世間様には特に関係の無いことに違いなく、
それより何より、裏蓋をトランスパレント化しておきながらも、
中央に天文台のメダリオンを入れることを忘れなかったオメガ、
やはりこれは素晴らしい。

とひとり肯く私でした。


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